就職氷河期の影響がまだ消えきってはいない昨今、よく話題に上がるのが「就職浪人」です。特に、現在就職活動中の大学生は、たびたび耳にする言葉ではないでしょうか。
一方、実際のところ就職浪人とはなにかを尋ねられたとき、すぐに答えられる方は意外にも少ないかもしれません。そこで今回は、「就職留年」について解説していきます。
「就職留年」と「就職浪人」について
「就職留年」とは
「就職留年」とは、就活をしたけれど希望の場所に就職ができなかった学生が、来年の就職を目指して1年留年し、学校に留まることです。
この場合、学生はわざと後期の単位を落として留年するのが一般的ですが、学校によっては特例措置として留年を認めてくれるところもあるといいます。
メリット
就職留年のメリットは、来年の就活時に「新卒」として臨むことができる点です。企業の中には求人において「新卒のみ」を対象としているところもあり、その場合既卒だと対象外となってしまいます。
こうしたリスクを回避するために、あえて留年をして新卒として就活に臨むのが「就職留年」です。
デメリット
就職留年のデメリットは、もう1年分の学費がかかるという点でしょう。私立大学の場合は高額な学費がかかることもありますので、親御さんに学費を出してもらっている人は、さらに負担を増やしてしまうことに。
また、「留年」をしたという事実が残ってしまうため、必ずしも就職留年が就活に有利なわけではありません。
留年をよく思わない企業の場合、留年という事実がネックとなり、書類審査で不合格としてしまうこともあるでしょう。書類審査では言い訳をすることもできないので、その企業への就活はそこで終わってしまいます。
「就職浪人」とは
就職浪人は、就活に失敗してしまい、就職せずに卒業した人を指します。就活に失敗したときに学校に残ったか、残らなかったかという点が、就職留年と就職浪人の違いだと理解してよいと思います。
メリット
就職浪人のメリットは、就職留年のように次年度の学費がかからないという点です。年間100万円以上の学費がかかる大学も多く、この費用は大きな負担になるため、経済的に苦しい人にとっては大きなメリットがあると思います。
さらに就職浪人の場合、既卒採用を積極的に行っている企業への就活ができるなど、新卒のときとはまた違ったアプローチで就職を目指せるというメリットもあります。
最近は第二新卒や既卒の採用を積極的に行っている企業も多いので、自分に合った就職先を見つけられるかもしれません。
デメリット
第二新卒の場合であれば、一度新卒で就職しているため、社会人経験があり、必要最低限の社会常識を持っているという認識を得られます。しかし、就職浪人の場合は社会人経験がないため、第二新卒よりもアピールポイントが少ない点がデメリットであるといえるでしょう。
たとえアルバイトで働いていたとしても、正社員として就職した経験を重視する企業の場合、その経験はアピールポイントになりにくいです。また、就職浪人の場合、卒業時に持っていた就活へのモチベーションを維持しにくいというリスクもあります。
就職浪人をする際は、しっかりと自分を律してスキルアップに励まない限り、次年度の就活にも失敗してしまう恐れがあるでしょう。
「就職留年」や「就職浪人」について聞かれたらどう対処すればいい?
就職留年や就職浪人をした人に対し、企業の採用担当者がその理由を尋ねる可能性は大いにありえます。しかし、正直に理由を答えれば、大きく印象を下げることは少ないようです。
ただ、その間の過ごし方が重要で、資格試験の勉強をして資格を取得するなどし、無駄に時間を過ごさなかったという証拠を示せないと、採用担当者への印象を下げてしまう恐れがあります。
就職留年や就職浪人という方向を選んだのであれば、時間を無駄にせず、理想の就職を成功させるために努力し続けることが重要です。
それぞれのメリットとデメリットを理解した上での選択を
就職留年と就職浪人には、先にご紹介したようにそれぞれのメリットとデメリットがあります。どちらを選択するべきかは、その人の希望する就職先や環境などによっても異なるので一概にはいえません。
しかし、それぞれのメリットとデメリットをきちんと理解した上で選択すれば、来年度の就職を成功させるチャンスにつながります。ぜひ、本稿の内容を参考に、後悔のない選択をしてください。